いま、7月出版の原稿を書いているところです。
その骨子の一部を抜粋します。
そもそも日本の農業は、大震災もTPPも全く関係なく、非常に厳しいトレンドを歩んできました。
国内農業衰退の要因は、様々ありますが明らかです。
原因が明らかということは、改善方法があるということです。
ではなぜ原因が明らかであるのにもかかわらず実際は改善されていなないかというと、行動する人がいないからです。
責任をとらない評論家だらけだからです。
政治家も役人も農業業界自身も、それぞれ反省し、直ちに行動しなければいけません。
しかし相変わらず、議論は過去の延長、ドンブリ勘定的発想、それぞれ自分の保身で反対反対のオンパレード、悪平等、井の中の蛙、経済音痴、あげくの果てに選挙対策、これでは改善などありえません。
ここは断腸の思いではありますが、ドラスティックな戦略転換と行動が必要です。
日本農業には様々なプレイヤーがいます。
採算確保のできている持続可能な専業農家、専業農家ではあるが赤字で経営維持の困難な農家、農業所得をあてにしていない兼業農家、自家消費のための趣味の農家、その他。
そしてその割合は、採算確保できているプロ農家はごく一部で、ほとんどは純粋な農業経営経だけでは維持困難な方々です。
様々な農業があっても良いのは言うまでもありませんが、産業政策はそれとは別です。
持続可能な産業としての農業のためには、このあたりをきちんと峻別して対応しなければいけません。
プロ野球と草野球は、それぞれに社会的価値はありますが、価値の中身や経済性は大きくことなります。
つまりプロ野球と草野球を、同じ土俵で評価するべきではありません。
農業でも、プロ農家と趣味農家を、これまでのように同じ土俵でどんぶり勘定で評価してはいけません。
今回の震災復興策においても同様です。
今の日本のファンダメンタルズが良くないのは明らかであり、予算の限界も近づいています。
この限られた予算の中で、最大限の効果を上げるような産業政策をうたなくてはいけません。
不遇な農家の方々は、農業政策ではなく、社会保障の観点から救済すべきであって、ドンブリを分けるべきです。
農業政策と社会保障とは、全く異なるカテゴリーで、ドンブリ勘定にしてはいけません。
これからは、産業としての農業を牽引していくカテゴリーやプレイヤーに、集中投資をすべきです。
これが僕の言う「ノアの方舟論」です。
これまで通りの農業業界特有の悪平等が続けば、ただでさえ針路不明で予算不足な現状の日本が、復活する前に旧約聖書にあるような大洪水に飲み込まれてしまいます。
大洪水の前に、ノアの方舟の建設を急がなくてはなりません。
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