世界はとても小さくなりました。
当たり前ですが、物理的には小さくなるはずはありません。
しかし交通機関や通信等の発達によって、実質的な海外との距離は大幅に短縮されました。
複雑化する経済は、一見遠い国での出来事が、瞬時に我々日本にも影響を及ぼします。
風が吹けば桶屋が儲かるという流れは、いまや文明の発達とともに、益々世界中に伝播しています。
ギリシャの経済破綻問題は、いまや世界中の関心事です。
取り巻く国同士の駆け引きも活発化し、一方で足並みがそろいません。
いったいどのような決着をみるのか、現段階では不確実性が多すぎます。
しかし、間違いなく言えることは、万が一ギリシャが本当にデフォルト状態になった時には、スペインやイタリヤや、延いてはアメリカや日本まで含めて、極めて深刻な事態を引き起こすということです。
とすれば、絶対にそのような事態を回避しなくてはいけません。
また、中国の食料問題も、先日のダボス会議で重大なテーマになったようです。
中国は世界最大の大豆輸入国であり、トウモロコシも輸出国から輸入国に転換し、更には世界中の農地買収に動き出していると言われています。
ただでさえ世界的に不足している食料が、中国に集中し、更に世界中の需給がひっ迫しています。
先般訪問したシンガポールでは、チャイナリスクをかなり意識しています。
中国がいつクラッシュするかわからないので、成長力の強い中国での商売は重視しながらも、一方で転ばぬ先の杖も用意し、リスク分散を図っています。
香港では、英語の公用語化が強みであったにも関わらず、最近は英語の全くわからない中国系の方々が増えたとも聞きました。
世界都市であった香港の、中国ドメスティック化が進行しているという懸念の声があがっています。
ベトナムでは、通貨ドンを切り下げた結果、輸入物価が上昇し、国内の食料を中心とした物価は急騰で、インフレが深刻化し、それを鎮静化させるために金融引き締めが生じ、その結果企業の資金繰りが悪化するという、典型的な悪循環が進行しています。
日本では、悪者扱いされることが多い円高のお陰で、食料をはじめ物価は安定しており、またゼロ金利政策の中で不景気なのにカネ余りという、これまた意味不明な経済常態が長く続いています。
諸外国の動きを見ていると、日本経済も薄氷の上に存在する、非常に不安定な状況と認めざるを得ません。
賢くて力のある経営者や企業は、日本離れを加速していると、言われています。
ギリシャ他諸外国の危機は、同様に日本の危機であることは、言うまでもありません。
我々日本の中小企業経営者も、もっと世界的なマクロ経済を勉強したうえで、ミクロ経済の戦略戦術を構築しなくていけません。
環境はどんどん変わっていきます。
過去の常識は、未来の成功を保証するものではありません。
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